

花沢健吾『ボーイズ・オン・ザ・ラン』:モチーフとしてのボクシング
今更ながら、ボーイズ・オン・ザ・ランを読んでみました。タイトルの訳は「逃走少年」でいいでしょうか?「屁っ放り少年」? ストーリーはうだつの上がらない三十路前の男が、彼女を作ろうとしては、裏切られ(他の男に盗られ)、その女性を奪った酷い男に勝負を挑むという、ストーリーです。金...


橋爪紳也『瀬戸内海モダニズム周遊』:観光案内文学の表現力
夏休みに瀬戸内海旅行を予定しているので、その予習のために買ってみました。内容は、「瀬戸内海」がいかにして観光資源となったのかを、当時の資料をふんだんに用いて説明しています。 様々な資料が用いられますが、当時のガイドブックやパンフレットが多いです。特にそれらの地図の部分。瀬戸...
ジョン・レノン『imagine』:国家という擬制
かなり、不穏な世の中になってしまいましたね。ガザでは民間人がたくさん殺され、ウクライナではマレーシア航空機がミサイルで撃墜されました。こんなキナ臭い世の中で、目を背けたいことばかりですが、そういう現実から逃げ回ってばかりもいられない気がします。政府は武器輸出を解禁し、経団連...


『闇金ウシジマくん』:「labor」と「work」について
ウシジマくんを読みましたです。はじめは、ウシジマくんの仕事内容メインで描かれていますが、途中から、闇金に手を出す人に焦点を当てて描かれることになるので、あまりウシジマくんが登場しなくなります。闇金に手を出す人は、この物語ではだいたい4種類にまとめられます。...


『トラック野郎⑤度胸一番星』:それぞれの望郷
トラック野郎シリーズを観ました。ただの昭和の馬鹿映画だと侮っていたら、 なんと奥深いことか!目から鱗が落ちた様な気分です。 カーアクションあり、ラブコメあり、喧嘩あり、下ネタあり。そしてちょっぴり社会的な問題が隠れていたりします。むむむ、昔の馬鹿映画は侮れない。...


ヒッチコック『サイコ』:「統一された人格」という幻想
こんにちは。サスペンスの巨匠・ヒッチコックの代表作・サイコを見ました。ヒッチコック作品では、以前に「レベッカ」を観ており、それもストーリーが秀逸でした。 昔の映画は今と違って、一人の人物の長い独白だとか、同じ画がずっと続くことが多いので、ところどころ眠くなってしまいました。...


押井守『スカイ・クロラ』:②代理戦争のリアリティ
こんにちは、前回に引き続き、『スカイ・クロラ』を用いて戦争の話をします。この物語の設定について、引っ掛かったもう一つのところは、「代理戦争によって平和がもたらされている」という点です。すでに説明しましたが、この物語の世界では、戦争請負会社によって戦争が行なわれ、そのおかげで...


押井守『スカイ・クロラ』:①戦争のない世界
スカイ・クロラは色んな要素が詰め込まれていて面白かったです。「ティーチャーと父権性」、「エヴァンゲリオンへのオマージュ」、「子供と大人の違い」など、色んなテーマを思いつきました。今回は、この作品で語られている戦争観について、たくさん思うことがあったので、このテーマにしました...


浅野いにお『うみべの女の子』:墓としてのWWW
今回の作品は、かなり直接的な表現でしたね。思春期特有の憂鬱と性に対する異常な反応を結びつけるのは、特に新しい試みでもなく、描写が生々しいだけにちょっと浮いちゃった感じがありました。もっとやんわりと表現してもらった方が、ぼくとしては受け入れやすかったです。多分。...


荒木飛呂彦『ジョジョ第7部:STEEL BALL RUN』:アメリカ的な2つのもの
やはりスタンド能力は出尽くしてしまった感が否めないですね。今回のシリーズも、能力的にすごく気に入る様なキャラは出てきませんでした。かなり複雑で理解不能であったり、以前出てきたのと似かよっていたりでそこまで戦闘シーンは面白くはありませんでした。最近のジョジョの戦闘シーンを「作...