

松本大洋『ピンポン』のヒーローと現代アイドル論
漫画の中のマイベスト3には入るであろう、松本大洋『ピンポン』のヒーロー論について、短いですが書かせていただきたいと思います。 松本大洋の作品には、必ず「ヒーロー」が出てきます。こいつは大概主人公であることが多く、圧倒的なパワーを持ち、周りの人に良くも悪くも多大な影響を与えま...


内田百閒『第一阿呆列車』の日本的文体
内田百閒の作品を初めて読みました。洒脱な文体が読んでいてとても心地良い。解説で伊藤整が「漱石のユーモア文学の発展としての百閒の文学というものをここで説いたりすることは」云々と書いてますが、確かに漱石文学のユーモアをさらに磨いたような笑える作品でした。...


『重監房とは何だったのか ハンセン病隔離政策の”負の遺産”を考える』:②パターナリズム
重監房とは、ハンセン病患者の懲罰施設でした。療養所の医者達が、 態度の悪い患者をこの懲罰施設に送り、計23名が死亡しています。 講演をしてくれた新潟大学医学部教授の宮坂道夫は重監房について以下の3つの疑問点を挙げています。 ・なぜ療養所に懲罰房が必要だったか ...


『重監房とは何だったのか ハンセン病隔離政策の”負の遺産”を考える』:①ハンセン病基礎知識
生労働省主催のハンセン病に関するシンポジウムに行ってきました。 まずは、ハンセン病についての基礎知識をば、、、 ハンセン病とは「らい菌」に感染することで発病する病気です。 日本では「癩病」(らいびょう)と呼ばれていました。 ...


『あなたの肖像--工藤哲巳回顧展』:③「ハプニング」から「セレモニー」への移行
③「ハプニング」から「セレモニー」への移行 工藤は「ハプニング」や「セレモニー」と呼ばれる芸術的パフォーマンスを度々行っています。 この「ハプニング」や「セレモニー」が工藤の特徴にもなってます。 分かりづらいと思うので、ひとつ例を。 ...


『あなたの肖像--工藤哲巳回顧展』:②工藤哲巳と天皇制
②工藤と天皇制について です。 彼の作品の中で最も心に残った作品が 「縄文の構造=天皇制の構造=現代日本の構造(天皇制の構造についてー聖なるブラックホールー)」という作品です。(写真の作品は違います。)これは文章で説明するのは難しいですが、円盤の上に逆さにしたろうとのよ...


『あなたの肖像--工藤哲巳回顧展』:①反ヒューマニズムと身体
工藤哲巳回顧展で特に刺激的だった点は3点。それをかいつまんで解説してみたいと思います。 美術は専門じゃないので見当違いかもしれませんが。 ①反ヒューマニズムと身体 工藤哲巳の大きなテーマとして反ヒューマニズム(人間中心主義)があります。そしてそのテーマを表現するための...


リンチ『マルホランド・ドライブ』と八百比丘尼
久々にリンチ映画に挑戦!少しは分かるようになっているかと自分に期待して観ましたが、さぁ、・・・まるで手も足も出ない! 最後の方で小さいオジさん達が出て来ちゃったところなんてもう爆笑でした。笑いがしばらくは止まらなかった。リンチのデタラメな運転により、終盤残り30分くらいのと...


トム・ウェイツのシンガポール観について
トム・ウェイツとの出会いは、とあるラジオ番組のバックでかかっていた『simgapore』という曲が最初です。そのおどろおどろしくもお洒落な曲調に衝撃を受けたのを今でも覚えております。 トム・ウェイツがこの曲で表現したシンガポールは実にこの国の本質をえぐっていると思います。シ...


『ものがたりグレゴワール・ソロタレフの世界展』:ソロタレフのビビットな色使い
グレコワールソロタレフ展に行ってきました!ポスターの絵に一目惚れですな。ソロタレフの書くキャラクターはとてもシンプルなのに雄弁ですね。真っ赤に描かれている生物(オオカミ?)の深い悲しみというか、猜疑心というかがぱっと見ただけで伝わってきます。ソロタレフの描く動物にはユーモア...