

押井守『スカイ・クロラ』:②代理戦争のリアリティ
こんにちは、前回に引き続き、『スカイ・クロラ』を用いて戦争の話をします。この物語の設定について、引っ掛かったもう一つのところは、「代理戦争によって平和がもたらされている」という点です。すでに説明しましたが、この物語の世界では、戦争請負会社によって戦争が行なわれ、そのおかげで...


押井守『スカイ・クロラ』:①戦争のない世界
スカイ・クロラは色んな要素が詰め込まれていて面白かったです。「ティーチャーと父権性」、「エヴァンゲリオンへのオマージュ」、「子供と大人の違い」など、色んなテーマを思いつきました。今回は、この作品で語られている戦争観について、たくさん思うことがあったので、このテーマにしました...


浅野いにお『うみべの女の子』:墓としてのWWW
今回の作品は、かなり直接的な表現でしたね。思春期特有の憂鬱と性に対する異常な反応を結びつけるのは、特に新しい試みでもなく、描写が生々しいだけにちょっと浮いちゃった感じがありました。もっとやんわりと表現してもらった方が、ぼくとしては受け入れやすかったです。多分。...


荒木飛呂彦『ジョジョ第7部:STEEL BALL RUN』:アメリカ的な2つのもの
やはりスタンド能力は出尽くしてしまった感が否めないですね。今回のシリーズも、能力的にすごく気に入る様なキャラは出てきませんでした。かなり複雑で理解不能であったり、以前出てきたのと似かよっていたりでそこまで戦闘シーンは面白くはありませんでした。最近のジョジョの戦闘シーンを「作...


小津『秋刀魚の味』:あまりに自然な感情表現
ずっと見たかった小津の『秋刀魚の味』を観ました。やはり小津の映画を観ると安心するというか、癒されるというか。なんとなくホッとしますね。 小津の映画の一番大きな特徴は、「抑揚のなさ」だと思っています。もちろん、きちんとクライマックスと呼べるものはあります。ありますが、小津の映...


白川昌生『ダダ、ダダ、ダー地域に生きる想像☆の力』:ローカリズムと民衆の歴史
白川昌生(しらかわよしお)の展覧会に行ってきました。白川のことは知りませんでしたが、アーツ前橋が昨年春にオープンし、ずっと気になっていたので行ってきました。あと、ダダイズムにも興味があったので。 アーツ前橋は建物の構造はとてもユニークで、ぼくがこれまで見て来た美術館とはちょ...


『THE FUTURE TIMES』 Gallery&Live2014:死者との関係性
アジカンのヴォーカル・ゴッチが編集長を務める新聞『THE FUTURE TIMES』のイベントがタワーレコード渋谷店にて行なわれた。ライブメインかと思いきや、トークメインのイベントだったので、期待はずれの人もいたかもしれないが、ぼくは大満足の内容でした。...


アドロン『バグダッド・カフェ』:ブーメランの軌跡
変わり者・はぐれ者達が小さな家族を作る物語。砂漠の真ん中で、旅行中に男と別れた女・ジャスミンとその砂漠の真ん中でカフェとガソリンスタンド及びドミトリーを営んでいる女・ブレンダ。ブレンダも夫と喧嘩し、夫は出て行ってしまう。...


(仮)ALBATRUS『DEMO』:②言葉の身体性と「ハレ」の時空間
②言葉の身体性と「ハレ」の時空間 インターネットの普及のおかげで、身体を伴わない言葉がたくさん世に出回るようになりました。その最たる例が匿名での発言です。(このブログも身体性がないですね。) でも、そういった身体性のない言葉が氾濫したことにより、身体性のある言葉のありがたみ...
(仮)ALBATRUS『DEMO』:①形式とメタ・メッセージ
今回は,この楽曲の歌詞を使いながら、デモ論を展開したいと思います。結構カタめの内容ですが、かなり思い入れのあるテーマなので是非最後まで読んでみてください。 よろしくどうぞ! ちなみに、この『DEMO』という作品は、もちろん音楽の芸術性も高いですが、映像の力がとても強い。CD...