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ジョン・レノン『imagine』:国家という擬制

  • 執筆者の写真: krmyhi
    krmyhi
  • 2014年7月31日
  • 読了時間: 3分

 かなり、不穏な世の中になってしまいましたね。ガザでは民間人がたくさん殺され、ウクライナではマレーシア航空機がミサイルで撃墜されました。こんなキナ臭い世の中で、目を背けたいことばかりですが、そういう現実から逃げ回ってばかりもいられない気がします。政府は武器輸出を解禁し、経団連もそれを拡大するように求めています。そんな金の儲け方ってあるの??

 ビートルズは多数の反戦ソングを残していますが、今回はぼくが特に好きなimagineを取り上げてみたいと思います。この曲には、ジョンのかなり前衛的な国家観が歌われていて、いまこそみんなで想像力をもってこの世の中を渡っていくべきではないでしょうか。

まず、imagineの歌詞をそのまま載せます。

Imagine there's no Heaven It's easy if you try No Hell below us Above us only sky Imagine all the people Living for today... Imagine there's no countries It isn't hard to do Nothing to kill or die for And no religion too Imagine all the people Living life in peace You may say I'm a dreamer But I'm not the only one I hope someday you'll join us And the world will be as one Imagine no possessions I wonder if you can No need for greed or hunger A brotherhood of man Imagine all the people Sharing all the world You may say I'm a dreamer But I'm not the only one I hope someday you'll join us And the world will live as one

 さて、今回は2節目のはじめ、「there's no country」というところに注目しましょう。現代のナショナリストには、もうちょっとこの部分について理解して欲しいと思います。別に日本人だけのことではないです。世界中が右傾化しているように思えるので。

 「『国家』とは『民衆』のことだ!国のために人があるんじゃねえ!」と政府相手には豪語している人達も、こと外国との摩擦があると、「国家」が単なる「つくりもの」であることを忘れてしまいがちなようです。

 あくまで国家というものは、ぼくたち民衆が楽しく、幸せに暮らすためにつくりだした制度であって、そんな「つくりもの」を守るために人々が殺し合うことがいかに馬鹿らしいか、ということをジョンは歌っているのです。

 これを吉本隆明は「共同幻想」と呼びました。「国家」とは単なる幻想であって、実態はないものであるということです。

 さらに時代を遡ると、あの福沢諭吉でさえ、国家は「擬制」であるということを言っているのです。

「立国は私なり、公に非ざるなり」(『痩せ我慢の説』)

 国民国家とはあくまで私的な枠組みであって、公的なものではないということですね。ナショナリストの元祖とされる福沢ですが、さすが偉大な思想家だけあって、きちんとそこを見抜いているんですね。

 国民国家という「幻想」は我々が幸福に生きていくためには確かに必要なものですが、それがあくまで「幻想」であるということをことあるごとに思い出さないと、狭量な人間になってしまう気がします。

 EUという国家解体の試みが、もう少し上手くいってくれれば、ジョンが歌うような世界観のリアリティが増したんですけどね。今はEUも反動で急激に右傾化しているようで、残念。

 最後に、ゴッチが紹介していたので忌野清志郎の訳詞を載せておきます(一部ゴッチが書き換えたもの)。シンプルで短い分、清志郎ならではの「洒脱さ」や「歯切れの良さ」みたいなものが滲み出ています。いい訳するなぁ。。。

 天国はない ただ空があるだけ

 国境もない ただ地球があるだけ

 みんながそう願えば 簡単なことさ

 民族もない ただ暮らしがあるだけ

 宗教もない ただ祈りがあるだけ

 みんながそう願えば 簡単なことさ

 夢かもしれないな

 だけど僕ひとりじゃないだろう

 この想いは消えないさ

 君だってそうでしょう?

 
 
 

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