

夢枕獏・谷口ジロー『神々の山嶺』:「登山家」について
8月になれば、ガッツリ書けると思っていましたが、なかなか日々の雑務に忙殺されて・・・。 しかし、コツコツ積み上げていくしかないですね。 さて、今年3月に映画化されたこの作品を漫画で読みました。 山ヤの性(さが)にとことん向き合って書かれた、骨太な作品。...


岡崎京子『リバーズ・エッジ』:閉塞感’90ー浅野『虹ヶ原ホログラフ』との比較
「この作品は、現代人が抱く閉塞感を見事に描写した・・・」なんて常套句を未だに耳にしますが、「閉塞感」なんて言葉は、ぼくのお尻に蒙古斑があった時代から既によく耳にする単語でしたよ。他の表現はないんですか、と言いたくなる今日この頃。...


古屋兎丸『ライチ☆光クラブ』:80年代における「父親像」の変化
飴屋法水率いる劇団「東京グランギニョル」が85年に上演した同名の舞台を、それに魅せられた古屋兎丸が漫画化したものです。広告宣伝は丸尾末広が行なっていました。グロテスクな漫画を描く丸尾末広の影響を大きく受けているのが絵柄から分かりますね。...


花沢健吾『ボーイズ・オン・ザ・ラン』:モチーフとしてのボクシング
今更ながら、ボーイズ・オン・ザ・ランを読んでみました。タイトルの訳は「逃走少年」でいいでしょうか?「屁っ放り少年」? ストーリーはうだつの上がらない三十路前の男が、彼女を作ろうとしては、裏切られ(他の男に盗られ)、その女性を奪った酷い男に勝負を挑むという、ストーリーです。金...


『闇金ウシジマくん』:「labor」と「work」について
ウシジマくんを読みましたです。はじめは、ウシジマくんの仕事内容メインで描かれていますが、途中から、闇金に手を出す人に焦点を当てて描かれることになるので、あまりウシジマくんが登場しなくなります。闇金に手を出す人は、この物語ではだいたい4種類にまとめられます。...


浅野いにお『うみべの女の子』:墓としてのWWW
今回の作品は、かなり直接的な表現でしたね。思春期特有の憂鬱と性に対する異常な反応を結びつけるのは、特に新しい試みでもなく、描写が生々しいだけにちょっと浮いちゃった感じがありました。もっとやんわりと表現してもらった方が、ぼくとしては受け入れやすかったです。多分。...


荒木飛呂彦『ジョジョ第7部:STEEL BALL RUN』:アメリカ的な2つのもの
やはりスタンド能力は出尽くしてしまった感が否めないですね。今回のシリーズも、能力的にすごく気に入る様なキャラは出てきませんでした。かなり複雑で理解不能であったり、以前出てきたのと似かよっていたりでそこまで戦闘シーンは面白くはありませんでした。最近のジョジョの戦闘シーンを「作...


浅野いにお『おやすみプンプン』の失われた母性愛について
僕の大学生活に多大なる影響を与えた『おやすみプンプン』がついに完結してしまいました。浅野いにおの作品は『ソラニン』等も好きですが、ぼくは『プンプン』が一番好きです。「あぁ、俺もこんなだったなぁ」と共感できるところがとってもたくさんありました。『プンプン』の完結に際し、何か一...


松本大洋『ピンポン』のヒーローと現代アイドル論
漫画の中のマイベスト3には入るであろう、松本大洋『ピンポン』のヒーロー論について、短いですが書かせていただきたいと思います。 松本大洋の作品には、必ず「ヒーロー」が出てきます。こいつは大概主人公であることが多く、圧倒的なパワーを持ち、周りの人に良くも悪くも多大な影響を与えま...