『FAST FOOD NATION』:他人事
- krmyhi
- 2014年10月13日
- 読了時間: 2分
久々に映画の更新ですな。
『いのちの食べ方』系の映画かと思ったら、ドキュメンタリー映画じゃないんですね。ストーリーがあって、そこに精肉工場の映像が使用されるという感じです。『いのちの食べ方』はトピックが複数あって、ここまで牛の屠殺・解体に踏み込んでいなかったので、屠殺場の映像はかなり見る価値ありですね。ただ、ストーリーはとっ散らかっちゃっているのが否めないですが。
この映画の主題は大企業の労働問題についてです。
主人公は、ファストフード企業のプロモーション部長で、パティの中に牛の糞が入っているという噂の検証を命じられます。彼は精肉工場へと赴き、調査を開始しますが、そこは衛生的で、労働環境も良さそうに見えます。しかし、実際はメキシコからの不法移民を雇い入れ、低賃金で高度な技術を必要とする屠殺を行なわせるため、労働者が身体の一部を失ったり、パティに牛の糞が混じってしまう、という内容です。
・・・ちょっと考えさせられちゃいました。
もし、このストーリーに「パティに牛の糞が入っている」という部分が無かったら、我々視聴者は彼らの労働問題についてそこまで真剣に考えたでしょうか。その部分が無かったら、ぼくは他人事として聞き流しちゃっただろうなぁ、と思いました。
「確かに、そこで働く人々の労働環境は劣悪で、手足を切断したりしても補償金が払われない場合もあるのかもしれないが、メキシコからの違法入国者達は、そのリスクをとってもアメリカで暮らしたいのだ。貧困から抜け出したいのである。だから、例え労働環境が悪くても、雇用を生み出している大企業は社会貢献をしているのだ。」
もし、「パティに糞が混じっている」という消費者に被害が及ぶような要素がなかったら、このようなロジックで自分を納得させていたかもしれないです。
そして、それはある意味では正しい。大企業は、たとえ商品が不良品でも、安くて多くの人が手に入れられる商品を世に出しているし、たとえ労働環境が劣悪でも、多くの雇用を生み出している。
企業が成長中であればまだいいが、一度膨れ上がってしまうと、成長が頭打ちになったあとも社員を食べさせないといけない。大企業も大変です。
ううむ。結局はダウンサイジングするしかないのでしょう。
その時に、できるだけ馘首を減らして、役員給与を下げる、くらいしかできることはないとおもいますが。
話がそれましたが、自分の生活が目に見えて脅かされるような事柄が起きないと、他人の苦しみを理解するのは難しいなぁ、と思ったのでした。
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