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旅行記「直島・豊島」③:『豊島横尾館」ー美術館と一体の作品ー

  • 執筆者の写真: krmyhi
    krmyhi
  • 2014年8月28日
  • 読了時間: 2分

 大好きな横尾忠則の美術館が豊島にあると聞いて、タイトなスケジュールの中、それだけを見るために豊島に寄りました。

 外観は周りの古民家によく似たつくりになっていて、周囲と調和していますが、ちかづいてみると・・・・むむむ。入り口に赤いガラススクリーンが張ってあり、そこから見える中庭は不気味な赤のモノトーン。すでに入る前から横尾ワールドが滲み出ています。

 この美術館の面白いところは、一つの作品を様々な見方で楽しめる点です。

 普通の美術館では、展示する内容が季節ごとに入れ替わるため、「ハコ」である美術館の構造はできるだけシンプルで、どんな内容の作品にも対応できるような造りになっています。美術館は「器」としての機能を果たすことが第一条件であるため、いくら建築がアーティスティックであっても、それが中身(展示物)に影響を与えるようなものであってはなりません。

 建築というものは、陶芸と似ているのです。

 しかし、この横尾館では、作品の入れ替えは考えていないので(考えていたとしても、同じ横尾の作品が入ってくるので)作品に合わせた美術館の設計が行なえるわけです。

 例えば、この横尾美術館は中庭も一つのインスタレーション作品となっていますが、冒頭で説明したように、それを入り口から眺めることができます。赤いガラス越しに。そして、美術館の中に入り、直接(赤いガラスを通さず)中庭を見ると、作品の印象が全く変わって見えるのです。

 このように、一つの作品を何倍も楽しめるようなギミックがこのハコの中には溢れています。まさに、作品と建築が一体となった美術館だと思いました。このような美術館には、ぼくは行ったことがなかったので大変興味深く感じました。

 ちなみに、アーツ前橋も豊島横尾館ほどではないにしろ、建設段階でさまざまな仕掛けが施されており、色んな角度から作品を楽しめます。くせがある分、相性が合わないジャンルのアートもあるかもしれませんが、ぼくは結構その建築を気に入っています。

追伸

 この豊島横尾館の近くにある「てしまのまど」というカフェがとても良かった。ぼく史上最高のカフェでした。

 
 
 

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